太陽光パネルは3年でどれだけ劣化した?日射データで補正したら「劣化は検出されず」でした
こんにちわ@・ェ・)めー。
わが家は毎月太陽光パネルと蓄電池のデータをチェックして年間のまとめ記事でも色々な分析結果を公開しています。
そこでちょっと気になるデータがありまして。3年間の太陽光パネルの発電量を見てみると年々下がっているんですね。
| 年 | 発電 | 前年を基準とすると |
|---|---|---|
| 2023年 | 17,261kWh | – |
| 2024年 | 16,150kWh | -6.4% |
| 2025年 | 15,890kWh | さらに-1.6% |
3年間で発電量が8%も下がってしまっています。これは一般的な太陽光パネルの劣化に比べて有意に大きな数字です。カタログやシミュレーションでは年0.3%から0.5%程度で計算してるはず。8%はどうみても大きすぎたので、その原因を追ってみました。
犯人は記事のタイトルで早々にばれちゃってるんですが、よかったら見ていってね。自分のお家でもチェックできるようにツールも作ったよ。
結論:発電量の減少は、ほぼ全部「日照時間の減少」でした
はい、さっそく結論と犯人です。
太陽光パネルの劣化を検証
発電量を気象庁の日照時間で割った「発電の原単位」で見ると3年間の変化は±2%以内
パネルの劣化は検出されず。減ったのは太陽の出勤日数
この方法で見える劣化は「年±2%」が限界。正確には「劣化ゼロ」ではなく「検出限界以下」
この記事で分かること
✅ 発電量の減少を「劣化」と「天気」に切り分ける方法
✅ 気象庁の日照時間データの取り方と使い方
✅ わが家の3年分の検証結果
✅ この方法の限界(どこまで小さい劣化を検出できるか)
検証のしくみ:発電量を「日照1時間あたり」で見る
太陽光パネルの発電量は「パネルの性能 × 太陽がどれだけ照ったか」で決まります。だから発電量だけ見ていても、性能の変化と天気の変化を区別できません。
そこで、発電量 ÷ 日照時間 =「日照1時間あたりの発電量(原単位)」を計算します。天気の影響を分母で打ち消してやれば、残った変化がパネル性能の変化、という理屈で検証します。
ここで肝心の日照時間は気象庁が「過去の気象データ検索」で無料公開しています。観測点を選んで、月ごとの日照時間を拾ってくるだけで準備が整います。
あとは年間の発電量÷年間の日照時間で「日照1時間あたりの発電量」を求めて、年ごとに比較をします。

発電量はアプリから、日照時間は気象庁から取得できます

割り算1回でパネルの通信簿が出来上がる
わが家の結果:原単位は3年間ほぼ一定
近隣のアメダスの日照時間を元に2023〜2025年の原単位を計算しました。
| 年 | 発電量(2〜12月) | 日照時間 | 原単位 kWh/h | 2023年比 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 17,261kWh | 2,388h | 7.23 | 100% |
| 2024年 | 16,150kWh | 2,196h | 7.36 | 101.8% |
| 2025年 | 15,890kWh | 2,231h | 7.12 | 98.5% |
発電量そのものは減っているのに原単位は上がった年すらありますね。3年間の振れ幅は±2%で、劣化を示す単調な右肩下がりはどこにもありませんでした。
ということで2024〜2025年に発電が減った理由は、単純に日照時間が2023年より6〜8%少なかったからでした。2023年はずいぶんと晴れの多かった年のようですね。
月別に重ねると、もっとはっきり見える
年の合計だけでなく、原単位を月ごとに描いて3年分重ねてみました。冬の5前後から初夏の10超まで同じ山谷を、3年ともほぼ同じ高さでなぞります。もしパネルが劣化していれば、この曲線が年々まるごと下にずれていくはず。それが起きていません。
ちなみに季節で2倍以上も動く理由は、太陽の高さです。同じ「日照1時間」でも、夏の高い太陽と冬の低い太陽では屋根に届くエネルギーが違います。だから別の月どうしを比べても意味がなくて、比べるなら「同じ月の年違い」か「年単位」です。
正直な話:この方法の限界
ここからが大事なところです。「劣化ゼロ!」と言い切りたいところですが、それはデータに対して誠実ではありません。
1. 検出限界は「年±2%」くらい。
原単位は月ごとに大きく暴れます。気温、雪、黄砂……日照時間では拾えない要因がたくさんあるからです。この暴れの中から見つけられる劣化は、ざっくり年2%より大きいものだけ。カタログ級の劣化(年0.3〜0.5%)は、この方法では原理的に見えません。だから結論は「劣化ゼロ」ではなく「少なくとも大きな劣化は起きていない」です。
2. 日照時間は日射量の代理にすぎない。
「日照時間」は一定以上の強さの直達日射があった時間で、光の総量(全天日射量)そのものではありません。より厳密にやるなら日射量データ(観測点は限られます)やNEDOのデータベースが必要です。ただ、個人的には近くの日照時間で十分かと思っています。
3. 夏はパワコンの都合で頭打ちになる。
わが家は13.475kWのパネルに対してパワコンの出力上限が約10kW(いわゆる過積載で、その比率1.35です)。快晴の昼は毎時10kWhでピタッと張り付いて、それ以上は発電できても電気を捨てています。
実測では毎時9.8〜10.0kWhに張り付いた時間が2025年で21時間ありました。蓄電池が満杯でこれ以上ためられないときは、その上限を超えたぶんは捨てられます(電池に空きがあれば、そのぶんは充電に回ります)。
さらに真夏は太陽光パネルが高温になることで原理的に発電効率が落ちたり、温度保護の機能が働いて発電を抑えることもあります。
この「見えない天井」と暑さのせいで、夏の原単位は日照に比例しなくなります。なので比較は年単位か、冬〜中間期で行うのが安全です。

今回データ解析して興味深い事実がわかりました
ちょっと寄り道してお話しします
太陽光パネルの「過積載」って、どれくらい無駄なの?
パワコンの頭打ちの話が出たので、ちょっと寄り道です。「じゃあ過積載って、結局どれくらい損してるの?」を実データで確かめたら、なかなか面白い発見がありました。
まず、カットされている時間はごくわずかでした。 発電が上限(毎時約10kWh)に張り付いた時間は、2023年で約56時間、2024年で約70時間、2025年で約21時間。1年は8,760時間ですから、年間のたった0.2〜0.8%です。
しかも削られるのは快晴の真昼のピークだけ。ピークカットが起きているのは事実ですが、捨てている量はごくわずかで、金額にすると年間でおよそ数百〜千円程度(FIT17円での概算)。正直、まったく気にする必要はありませんでした。
それより、パネルを大きく載せた「得」のほうが桁違いに大きいことがわかります。
太陽光パネルが少ない場合を試算する
わが家のパネルは1枚245W、それが55枚で13.475kW載っています。
もし8枚少ない47枚(11.515kW)だったら?
ピークカットは減りますが、そのぶん一年じゅうずっと発電量が下がります。
試算すると、2025年ベースで年間およそ2,300kWh少ない(=約13,600kWh)発電量になります。この2,300kWhのほとんどは売電の減少で、約2,200kWh=約38,000円(FIT17円)ぶん売れなくなります。「発電が減れば今度は買電が増えるのでは?」と思いきや、そこは蓄電池がバッファになって昼の取りこぼしを均すので、買電の増加は約80kWh(約2,800円)どまりでした。
合わせて家計へのインパクトは年およそ4万円。ピークカットの無駄(数百〜千円)とは、やはり桁が2つ違います。
一条工務店の施主は暗黙知的に太陽光パネルは最大積載量(13.475kW)を載せることをオススメしていますが、実データを元にピークカットによる無駄が年間0.2%〜0.8%だったこと、最大積載量を元にパネル減少の経済効果を試算できたのはこの記事に大きな意義があると思います。

太陽光パネルは最大量で載せておけ
というのが一部の施主では常識になっている

実データで証明できました
パワコンのピークカットを超えたデータがある
そして、もうひとつ面白い発見があります。 発電が「1時間ずっと10kWh超」を記録したことが、3年強で3回だけありました。雲の切れ間の乱反射で一瞬10kWを超えることはあっても、1時間まるごと平均で10kW超は、パワコンが約10kWで頭打ちする以上、本来あり得ません。そのからくりは蓄電池でした。
パワコンが抑えているのは「交流(AC)で外に出す電力」です。ところが蓄電池が満充電前で、しかも最大級(約5.4kW)で充電しているとき、10kWの交流上限を超えたぶんのパネル出力を、直流(DC)のまま電池へ直接流し込めます。このぶんは交流の天井を通らないので、「発電量」が10kWhを超えて記録される、というわけです。実測でも3回とも、AC出力は10kW未満なのに電池は+1.9〜+5.4kWhで充電中でした。

蓄電池がパネルから直通で電気を受け取っていたんだ
もちろんACには制限がかかっている

この現象はたまーに見かけます
狙ってやることはできないので裏技でも何でもないんですね
実際の画面はこんな感じです。こちらは2025年8月28日の11時すぎ。発電量がパワコンのピークを越える10.3kWを記録、蓄電池は最大の5.4kWで充電を行っていました。

蓄電池に続き、劣化は「検出されず」
以前の記事で、蓄電池の劣化を独自試算して「3年で1%程度」という結果をお伝えしました。今回のパネル検証と合わせると、
| 設備 | 3年経過時点の劣化 | 検証方法 |
|---|---|---|
| 蓄電池(EIBS7×2) | 約1%(SOH99%) | BMSのSOH+満→空の実測容量 |
| 太陽光パネル(13.475kW) | 検出されず(±2%の測定限界内) | 日照補正した原単位の3年比較 |
設置から3年、電力設備はどちらも元気です。「太陽光や蓄電池はすぐ劣化してダメになる」という言説への、わが家からの実データ回答でした。おかげさまでヒツジさんは、今日も安心して電気を買わない遊びに興じてます。
ツール
せっかくなので太陽光パネル劣化チェックツールを作成しました。
使い方はこの記事で解説したとおり、年間の発電量と日照時間を入れるだけです。
複数の年を入れると基準の年に比べて計算して判定してくれます。よかったら使ってみてくださいね。
まとめ:発電量の変化は日照時間と併せてチェック
発電量の減少は劣化とイコールではありません。まずは日照時間で割ってチェックです。
わが家の場合は3年間で劣化は検出されず。
検出限界は年±2%。「ゼロ」ではなく「大きな劣化はない」という結果でした。
蓄電池(劣化1%)とあわせて、3年目の設備は健在です。
来年も同じ計算をして、この表に1行足していきます。10年続けたら、カタログの劣化カーブと答え合わせができるはず。それも楽しみのひとつです。
それではまた@・ェ・)めー。
この記事に関するよくある質問
発電量が減ったらまず何を疑えばいいですか?
天気(日照時間)です。気象庁の月別日照時間と比べて、発電の減り方が日照の減り方と同じなら設備は健全です。日照が変わらないのに発電だけ減っていく場合に、劣化・故障・パネルの汚れや影を疑います。
日照時間はどの観測点を使えばいいですか?
自宅にできるだけ近いアメダスで、日照時間を観測している地点を選びます(雨量だけの地点もあるので注意)。可能なら2地点で計算して結果がズレないか確かめると安心です。
パネルの汚れや初期不良もこの方法で分かりますか?
急な低下(原単位が数%以上ガクッと落ちて戻らない)なら気づけます。逆にゆるやかな汚れの蓄積は劣化と区別できません。年1回、原単位を記録し続けるのがおすすめです。
何年分のデータがあれば検証できますか?
最低で丸2年です(同じ期間どうしを比べるため)。1年分の場合は、まず「その年の基準値」を作るところまで。あとは毎年1行ずつ足していけば、異変が起きたときに気づける台帳になります。






